A Deabetic Life - 糖尿病の生活

A DEABETIC LIFE

− 糖尿病の治療(1) 薬物療法 −


糖尿病治療に用いられる薬 インシュリン注射
口径投与剤(飲み薬) 薬物治療の罠


■糖尿病治療に用いられる薬
糖尿病治療に薬物を用いる場合、高い血糖値を早急に下げる場合に使われるわけではありません。慢性疾患という性質上、生涯に渡って必要になる治療です。
ただし医師の診断で、2型糖尿病の初期段階であったり、血糖値やHbA1cが適正値に近い場合は薬物を用いなくても良い場合もあります
1型糖尿病である場合は毎日のインシュリン注射が絶対に必要です。インシュリンが膵臓のエンゲルハンス島β細胞で作られないのですから、体外から取り込む以外にないからです。現在、人工膵臓、インシュリンの点眼薬や点鼻薬、遺伝子治療、ナノカプセル治療(ナノミクロンサイズの極めて小さなカプセルを血管内に入れてインシュリン製造工場の機能を持たせるという治療)などの、注射をしなくてもいい治療方法の確立のための研究が重ねられてはいますが、実用化には至っていません。
2型糖尿病の場合は、経口投与剤(飲み薬)かインシュリン注射かのどちらかが用いられますが、これは病状の軽い重いに直接関係しているわけではありません。インシュリン注射=重度の糖尿病患者と思っている人がいますが、それは誤りです。どちらの治療がいいのかは医師が判断することであり、患者が判断することではありません。
また経口投与剤は効き始めるまでの時間や効く症状によって薬が違いますし、インシュリンも即効型から遅効型まで様々なタイプがあります。医師が診断した結果に従うことが最も懸命と言えるでしょう。
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■インシュリン注射
インシュリン注射を処方される人は、1型糖尿病患者全員と、軽度〜重度の2型糖尿病患者の一部です
インシュリンは注射器メーカーによってカートリッジが異なります。病院によって処方している注射器のタイプが違うと思われます。
私が使用しているものは、ノボノルディスクファーマ株式会社の「ノボペン(R)300」という万年筆型のもので、300単位分のカートリッジを内装でき、針だけを毎回交換して使用するタイプです。300単位のカートリッジは、私の場合は2004年3月現在、1食毎に6単位+空気を抜くための空打ち分2単位×3食=24単位/日ということになり、約12日間で1本のカートリッジが終わることになります。
インシュリンのカートリッジは冷暗所に保管しておく必要があります。一ヶ月分のカートリッジ(私の場合は3本:\1,900)を処方された場合、1本は注射器へ、1本は注射器ケースへ、1本は冷蔵庫へと入れて保管します。インシュリンは凍らせてしまうと成分が変わってしまいますし、熱しても同様です。冷凍庫や車の中に入れておいてはいけません。

使い捨ての針は病院で貰えます。使い終わったら医療廃棄物として捨てなくてはならないので、医師の指示に従った捨て方をする必要があります(大抵は決められた容器に入れて行き、容器が一杯になったら病院に持って行って新しい空容器と交換します。私の場合はこの容器が人工透析液が入っていたポリタンクなので、洒落になっていません…)。
注射時には注射器と注射する場所を消毒しなければなりませんが、この消毒液や消毒液を染み込ませたガーゼなどは薬局で個人的に購入する必要があります。

インシュリンのカートリッジは、白濁するまで振って使う遅効型から、振らずに使う即効型まで様々なタイプがあり、医師が患者の病状に合わせて適宜処方します。
また、一日に注射する回数や一回に注射する単位数は病状や初診からの経過日数などにより異なります。医師の言い付けを守った単位数を正確に注射することから始め、医師の指示に従いましょう。

インシュリン注射は食前に行ないます。注射をしてから30分以内に食事をしないと、今度は「低血糖」となり、これも身体に悪影響を及ぼします。
軽い低血糖ならば、以下の症状が表れます。
・冷や汗が出る
・頭痛がする
・動悸
・顔面蒼白
・生あくび
低血糖が重度の場合は、以下のような症状が表れます。
・手指の麻痺やしびれ
・一時的な言語障害
・一時的な歩行障害
・錯乱状態
・昏睡状態(低血糖昏睡)
低血糖は、注射後の食事が素早くできても、食事の量が少なかったりカロリー数が低過ぎたりすると出る場合があります。もし低血糖かな?と思うような症状が出た場合、次の様なものを飲食することで10〜20分程度で治ります。
・ブドウ糖錠剤(薬局で買えます)
・砂糖(スティックシュガー、氷砂糖、角砂糖等)
・ブドウ糖果糖液糖入りのジュース
・砂糖の入っている飴やキャンディー
低血糖改善のためには人工甘味料は役に立ちません。最近は人工甘味料で甘味をつけているジュースやキャンディーが増えてきましたので、よく確認しましょう。私は常にインシュリン注射器のケースを入れたバッグの中に小さな氷砂糖を数個ビニール袋に密封して入れています。低血糖症状が出たことは今のところ一度だけですが、この氷砂糖をひと欠片舐めたら治りました。

よくインシュリンを多く注射すればたくさん食べてもいい、と思っている人がいるようです。しかし毎日のようにこれをしていると、血糖値はコントロールできても体重のコントロールはできないので、代謝が乱れ、血糖値が下がらない、インシュリンの出や効きが悪くなるなどの弊害が出ます。
今日はどうしてもお酒を飲まなくてはいけない会合があるとか、たまには友達とケーキバイキングに行きたいなどという場合、医師の許可と指導を受ければ自分で注射単位をコントロールして多めに注射するということをしても大丈夫なのですが、これは比較的血糖値が安定して、肥満状態を脱している患者のみに許されることです。

インシュリン注射はあまり痛みを伴いません。注射する場所は太ももか下腹周りのどちらかで、最初に自分で選んだほうになります。私は腹にしています。
最初は注射器の使い方を暗記するまでの数週間は注射する部分を消毒してから注射する必要がありますが、医師の許可があればシャツの上から消毒なしで注射しても大丈夫です(ただし身体や衣服を常に清潔にしている必要があります)。会社の食堂や外食の場合、私は現在はシャツの上から注射しています。
また針の交換をせず、消毒もせずに注射をする人も大勢いらっしゃるようです。しかし独断で注射方法を決めるのではなく、必ず医師に相談しましょう

1型糖尿病の場合、インシュリン注射は一生涯続きます。注射をしないと高血糖昏睡などの状態になりますので、注射を忘れることは命の危険と隣り合わせになるということになります(食事をしなくても血糖値が上がるため)。
2型糖尿病の場合、3割程度の人がインシュリン注射を止めることができるそうです。ただしインシュリン注射を止めると病状が良くなったと勘違いし、元の生活習慣に戻ってしまい、止めた人の7割程度が1年以内に、再度インシュリン注射をしなければならない状態に戻ってくるということです。ですから、2型糖尿病患者も一生涯付き合っていくものだと覚悟をしたほうが、精神的に負担にならずに済みます。
出掛けるときには携帯電話を忘れても注射器は忘れないよう、常に身の傍に注射器を置いておきましょう。
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■口径投与剤(飲み薬)
口径投与剤(飲み薬・内服薬・口径血糖降下剤などとも呼びます)を処方される人は、軽度〜中度の2型糖尿病患者の一部です

口径投与剤は下記の種類に分かれます。

(1)スルホニール尿素剤
膵臓のランゲルハンス島β細胞を刺激し、インシュリンの分泌を促す薬です。

(2)ビグアナイド剤
肝臓から血中へと送り出されるブドウ糖の量を抑える薬です。

(3)αグルコシダーゼ阻害剤
糖質の吸収を小腸の上部で抑制し、食後の血糖値の上昇を緩やかにする薬です。

(4)チアゾリジン剤
インシュリンに対する抵抗力を弱め、効きを良くする薬です。

(5)ナテグリニド剤
インシュリンが分泌されるタイミングを早め、食後の血糖値上昇を抑制する薬です。

(6)グリメピリド剤
インシュリン分泌を促すと同時に身体の抵抗力を上昇させる薬です。

このような種類に分かれ、それぞれの種類の中でも即効性から遅効性まで薬が効き始めるまでの時間によって分かれます。ですから患者が勝手に薬を変えたり、薬を忘れたからと人からもらったりすることはできません。
口径投与剤を処方された場合、自分の薬がどの種類に属していて、どのくらいの時間で効いて来るものなのかを医師に確認しておきましょう。

食前に飲むだけなのでインシュリン注射に比べて楽だと思う方も多いようですが、毎食のこととなるので苦労は同じです。何処に行くにも(食事を伴う場合は)薬を持ち歩かなければならないのも一緒です。
医師がインシュリン注射を処方したのに頑なに口径投与剤に拘るということがないようにしましょう。どうしてもインシュリン注射が嫌だという場合、医師に相談して、医師が許可すれば口径投与剤になる場合もありますが(私の父がそうです)、これは患者に油断を生みやすいと考えます。
・飲み薬で済んでいるから自分は症状が軽い
・自分は誰よりも節制した生活をしている
などの思い込みから油断して生活習慣が戻り、検査の結果HbA1cに自堕落な生活が数値となって表れるということも少なくありません。もしご自分でご自分を分析してみて、自分は意思を強固に節制した生活を一生涯送っていくことができる、という覚悟ができない場合は、サッサとインシュリン注射に切り替えることをお勧めします(自分は意思が固いと思っている人も油断を招くことが多いんですけれどね)。

症状によって処方される薬が替わる場合もあります。そうした場合、医師から次はこういう薬に替わるよ、というインフォームド・コンセントがあるはず。そうした場合、医師に症状がどうなっているのかを確認しておくことも必要でしょう。
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■薬物治療の罠
1型糖尿病患者の場合、インシュリン注射を一生涯続ける必要があります。注射を止めれば待っているのは死です。合併症のどれかになるよりも、高血糖昏睡急性腎不全などになって死に至ることが多いかと推測します。

2型糖尿病患者の場合、病状が安定していると、薬物治療を医師の許可なく止めてしまう人も大勢いるようです。自分はもう治った、という誤った認識が薬物治療を放棄することになるのですが、糖尿病は何度も言うように、絶対に治ることのない「慢性疾患」なのです。食餌療法と運動療法だけで病状の安定を保てるのならいいのですが、生活習慣病(特に2型糖尿病)になる人は意思の弱い人が多いと思われます(私もそうです)。こうした意志の弱さは簡単には変えることができません。従って大半の「薬を止めた人」は元の甘えのある生活に戻りやすく、病状をジワジワと悪化させていくことが多くなります。気が付いたら安定しているはずの病状が進行していて、自覚症状が表れたり、合併症にかかってしまっていたりします。

こうした罠にかからないよう、常に自分を律して、自分は意思が弱いからこそ投薬だけは忘れない、というくらいの気概を持つことが必要だと考えます。もちろん投薬を忘れないようにしなければ!というストレスが身体に良くないことは承知しています。しかし投薬を止めた場合の弊害のほうが圧倒的に多く、恐ろしいということを解っていただきたいと思います。
一生付き合っていく、という覚悟さえできれば、投薬を忘れないようにする心掛けはストレスにはなりません。むしろ投薬を止めるほうが不安になります
私だってインシュリン注射を止めても病状が進行しないのであれば、今からでも注射を止めたいです。しかしこれは有り得ない話です。有り得ない甘い罠にかかることで自分で自分の寿命を縮めることほど愚かなことはないと考えます。
私は生涯インシュリン注射と付き合ったとしても、天寿をまっとうしたいと思っています(自分の天寿がいくつなのかは別として)。

またこうした患者の気持ちを、家族、友人、同僚に糖尿病患者を持つ健康な方は理解していただきたいと考えます。
糖尿病患者が「あ、薬忘れた」と言った場合、もし本当にその人を大切に思うのならば、真剣に怒鳴って叱り付けるくらいのことをして欲しいものです。糖尿病患者の人は、「いいじゃん、そのくらい」なんて言う人がもし自分の周りにいたら、それは本当に自分を大切には思っていない人なんだ、と思ってもいいでしょう(もちろん、糖尿病の正しい知識を持たせていない場合は別ですが)。

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